あれ…?アンダーザシーやん!
ディズニー見てんの?
いやこれキングダムハーツっていうゲームやで
めっちゃ聞いた事ある
画面キレイ!いつのゲーム?
2002年
え!?なんで今更…
キングダムハーツと私
皆様はキングダムハーツというゲーム作品を知っているだろうか。
日本のみならず、世界中にファンが存在しており、最近では続編であるキングダムハーツIVの開発が発表された。
言わずと知れた大人気ゲーム作品である。
天下のディズニーとスクウェア・エニックスがコラボし、主題歌は宇多田ヒカル。
権利関係でディズニー側からミッキーの登場シーンについてはかなり制限されたものの、ドナルドやグーフィーと「不思議の国のアリス」や「リトルマーメイド」、「ピーターパン」などと言った有名どころのディズニー作品の舞台を一緒に冒険ができる。
当時は一大エンターテインメントのディズニーが大手ゲームメーカーとコラボという事でかなり話題になった……らしい。
発売当時(2002年)筆者は小学生ですらない為、あまり記憶にない。
どちらかというと私が成長してから発売された「アナ雪」「パイレーツ・オブ・カリビアン」などと言った近年大ヒットしたディズニー作品が登場するキングダムハーツIIIのほうが話題になっていたという印象すらある。
しかし、III発売当時の私はしがない専門学生であり、東京周辺に住まいながらもディズニーにはあまり触れてこない人生だった為、特にプレイしたいと思う気持ちもなく今までスルーし生きてきた。
ディズニーという沼
では何故、発売から22年も経ったキングダムハーツ1を今、プレイしたか。
そう、それは私がディズニーにハマっているから。
ここ1年くらいだろうか。
ディズニー作品見放題のディズニープラスと契約、YouTubeではディズニーオタク…いわゆるDオタと呼ばれる方々のディズニーリゾートを回る動画を片っ端から視聴するほどにハマっているのは。
最近の至福の時間といえば、休日に家事を早めに終わらせ、昼前にコーヒーを飲みながら大画面のテレビにYouTubeを繋ぎ、パーク内の映像を観るのが最高だ。
沼にハマった出来事として決定的なのはミラコスタホテルに泊まった事が大きい。
本当に素晴らしい体験だった。
ディズニーのどこにハマっているのかについてはまた後日、語らせてもらうことにして、キングダムハーツに軸を戻す。
「これほどディズニーにハマっているゲーマーならばキングダムハーツに触れなければ失礼だ。」
そう思い、今更ながらコントローラーを手に取ったわけだ。
白状するが実は数年前にもキングダムハーツには手を出した事がある。
しかし、当時の私はディズニー映画をほとんど知らず、ハマりきれなかった。
進捗状況でいうと3番目のステージであるディープジャングルで行き詰まったと覚えがある。
それがどうだ、今やキングダムハーツ1で数多く残された伏線や考察動画を見漁る現状である。
そんなキングダムハーツを数日前にやっとこさクリアしたので、ざっと所感ならびに感想を述べようと思う。
ストーリーの核心に迫る部分については触れないが一応ネタバレ注意だ。
未プレイの方は注意して欲しい。
(22年前の作品のネタバレ注意を喚起するのもどうかと思うが……)
再現を超越したディズニーワールド
本作で登場するディズニー作品は以下の通り。
- 不思議の国のアリス
- ヘラクレス
- ターザン
- アラジン
- リトルマーメイド
- キノピオ
- ナイトメア・ビフォア・クリスマス
- ピーターパン
- くまのプーさん
名だたる作品の世界観が登場している。
他にもキャラクターのみの登場だが美女と野獣やライオンキング、ムーラン、バンビ、ダンボ、101匹わんちゃん、白雪姫、シンデレラ、眠れる森の美女など数多くのキャラクターが出演している。
私の第一印象としては「キャラ多っ!ボリュームすごっ!」だ。
発売された年代を考慮すると、そう感じるのも無理はない。
まさかこれほどボリューミーで濃厚な味付けがされたゲームだと想定していなかった。
780円のラーメンを頼んだら、やたら麺は多いし、煮玉子と海苔はもちろんのこと、チャーシューは2枚ついてて、味変として細切り生姜もついてきた~みたいなノリだ。
本当によくこのクオリティが2002年、PS2で発売されたな……と感動する。
特に感動したのがディズニーらしさのイメージを徹底的に研究して、ゲームならではの演出で世界観の再現だけでなく、表現をしているところだ。
各ワールドごとに作品のイメージがステージの仕掛けやBGM、構成といった要素で非常に丁寧に再現されているのだ。
例をあげてみよう。
「不思議の国のアリス」の世界観をイメージした「ワンダーランド」というステージがある。
ここは主人公であるソラが初めてディズニー作品の世界に訪れるステージなのだが、非常に良くできている。
アリス、ハートの女王、チェシャ猫など主要キャラはもちろん出演するが、主人公組(ソラ、ドナルド、グーフィー)との絡みはかなりシンプル。
不必要なやり取りをしない事でキャラクターのイメージを崩れさせない。
印象的だった裁判シーンやお茶会の舞台も登場する為、原作の流れを忠実に再現されている。
ワンダーランドでは、仕掛けやギミックという点でアリスらしさを演出している。
アリスの奇想天外で面白おかしくも可愛らしい世界観がよく伝わってくるのだ。
例えばステージを先に進む謎解きはアリス同様に、身体を小さくする飲み薬を飲まなければいけない。
飲み薬や不思議な木の実を用いる事で身体を大きくしたり小さくしたりして、ギミックを解いていく。
最初は絵のように薄っぺらく描写されていたツボに、水を注ぐ事により立体化してアイテムが手に入ったり、逆に立体的だったベッドを壁に押して、ベッドを壁の絵にする事で隠されていた道が現れるなど、どこか有り得ないのに笑えるというアリスっぽさが演出されている。
中でも感動したのは私の特段好きな作品でもある「リトルマーメイド」のアトランティカというステージだ。
原作同様、全編に渡り海底が舞台のステージである。
アトランティカでは空間を上手く活用し、海の壮大な広さを現されていた。
ソラ一行はアトランティカの世界に馴染む為、ドナルドの魔法により人魚や海洋生物に姿を変える。
その為、アリエルと同じように海の世界(ステージ)を上から下まで空間を無駄なく行き来できるようになる。
それまで陸というフラットな世界が3次元的な世界へ姿へ変わる。
他にも映画では表現出来なかった空間づかいとして、宮殿であるキングトリトンの城間だ。
部屋の入口から玉座までの空間は真っ直ぐにかなりの間隔を空けて配置されており、トリトンの王としての威厳が表現されている。
同時にこの余白のような空間は、娘を心配するあまり空回りしてしまう父の想いと、外の世界に憧れるアリエルとの離れてしまった距離感を表しているようにも思えた。
デザイン面でもアトランティカは優れている。
キングダムハーツではRPGらしく宝箱が各ワールドに配置されているのだが、宝箱の外見はこのワールドのみ大きな貝殻にデザインされている。
一つだけデザインが宝箱のものがあるが、いかにも沈没船の残骸のようなボロボロの見た目をしており、あらゆるところで海のワクワクを感じる。
またBGMについてもティンパニが目立つ明るい「アンダーザシー」を流す事により、暗くなりがちな海のシーンを重く感じさせずリトルマーメイドの海底の楽しさを演出されていた。
その他のワールドについても印象的なシーンを再現するのはもちろんのこと、あらゆる要素で世界観をゲームとして表現していた。
フレンズたちの交流
キングダムハーツではシリーズに渡り、ドナルドとグーフィーが仲間となり世界を回っていく。
必然的に訪れた先のディズニーキャラクターと彼らもコミュニケーションを取る。
このやり取りが実に微笑ましい。
制作側はキャラクターのイメージを損なわないよう劇中でのキャラの振る舞いを徹底している。
ディズニー側から強い要望や制約があったとされる環境の中、違和感なく考えられて設計されている。
ピーターパンのメインキャラであるティンカーベルも登場するが、映画同様嫉妬深く悪戯好きな性格であり、短気なドナルドとの掛け合いは微笑ましい。
グーフィーは元々主張の強くないキャラクターという事もあり、どの世界にも全く違和感なく馴染んでいた。
ドナルドの短気で横槍を投げる性格は、先に挙げたティンク、リトルマーメイドのセバスチャンなどと微笑ましいやり取りがとても良かった。
思えばディズニーは各作品のイメージ壊さぬようにと意図して、干渉しないように配慮されている。
ディズニーリゾートの設計が典型的な例だろう。
先日、ディズニーシーに新しく建設されたエリア”ファンタジースプリングス”に足を踏み入れる機会があった。
メインテーマであるラプンツェル、ピーターパン、アナ雪の世界観はどれも背の高い木々やスピーカー、動線などあらゆる要素で干渉し合わないように設計し、世界観を守っている。
グッズやショーなどで異なる作品のキャラクターが会する事はあっても、アベンジャーズのように映像作品としてはコラボする事はなかった。
その為、キングダムハーツで見ることのできる異なる作品のキャラクターのやり取りは非常にレアなのである。
中でも印象的だったシーンがある。
作中でセブンプリンセスと呼ばれる6人のディズニープリンセスが一同に会するシーンだった。
年少組ではアリス、白雪姫、ジャスミンの三人グループ。
お姉さん組ではシンデレラ、オーロラ姫、ベルが仲良くしていた。
プリンセスならではの悩みや愚痴を女子会のように会話していそうで新鮮だった。
(実際はかなり差し迫った状況だった為、そんな事してないかもしれないが)
ちなみにキングダムハーツには、FFキャラクターも出演するのだがディズニーキャラに比べ、彼らはあくまでサポートに徹しており、目立たない。
筆者はFFのナンバリングをプレイした事がない為、逆に良かったかもしれない。
オリジナルキャラクターであるソラとドナルドたちのやり取りについてだが、思っていたより濃厚で非常に良かった。
彼らパーティには明確に強い仲間意識があり、ストーリー通じて絆の描写がある。
終盤の一時的にドナルドたちと別れるシーンは少しばかり胸が痛むほど、よく描写されている。
普段は抜けているグーフィーから「ソラは友達だ」と彼を脅威から庇うシーンは痺れた。
続編でも同様に3人のやり取りが見られると思うと自然とプレイしたくなるほど、彼らの絆は素敵だった。
おもちゃ箱のように詰め込まれたコンテンツ
濃厚なストーリーに、魅力的に再現されたディズニー要素。
ピアノやストリングスを基調としたエモーショナルなBGM。
アクション面においてはソラの動きが重く、単調さが目立ち、まだまだ荒削りという印象を受けるが2002年という時代を考慮すれば充分に及第点だろう。
根本的なゲーム要素としてはこれだけでもかなりのクオリティである事は間違いない。
しかしながら、本作はそれに満足することなく様々なエッセンスを取り入れている。
ワールド間を往来する為にグミシップなるシューティング要素もある。
このグミシップはプレイヤーによってクラフトする事もできる。
敵キャラやオブジェクトを破壊すると新しいパーツが手に入り、どんどん船を強化したり、見た目も好みのカラーを施しカスタマイズする事が可能だ。
初期設定のグミシップだとスピードも遅く、壊せないオブジェクトも多いが最終的に、変形やブースト、大量に敵を殲滅できるほどにパワーアップさせる事ができる。
邪魔な敵キャラをレーザーで一斉に消し去る爽快感はたまらない。
クラフト自体も簡単に行えるので取っ付きにくさはそれほど感じなかった。
どちからというと強くなるまでが大変で、シューティングゲームというより敵の攻撃やオブジェクトを避ける動きが重視される。
スピードも遅く、テンポの遅さに少々クセがある。
当初はあまり好きになれないグミシップだったがクリアする頃には積極的にカスタマイズを行い、楽しんでいた。
他にも数多くのミニゲームが用意されている。
ターザンが舞台のディープジャングルではツタをリズム良く跳ぶ事で目的地まで時間を測るタイムアタック。
筆者は訪れていないがくまのプーさんが舞台の”100エーカーの森”ではゲームの進行度に合わせて多くのミニゲームが遊べるらしい。
やり込みもきちんと用意されている。
コレクション要素では各ワールドに点在する、ドラクエで云う「小さなメダル」は迷子になった101匹わんちゃんを回収していく。
親犬であるポンゴたちの家もワールドに存在する為、回収した子犬たちはそこに戻り、進行状況に合わせて増えていく。
子犬たちの様子も実によく再現されており、じゃれたり、寝たりと色々な姿が楽しめるため、回収したくなる。
このようにディズニーという素材に甘んじること無く、ストーリーやキャラクター以外にも様々な要素を組み込んでいるのだ。
開発陣のゲームに対する本気度が伺える作品だった。
UIはイマヒトツ
全体的にプレイしてとても良かった作品だった。
しかし、プレイする中でイライラしてしまうポイントもいくつか存在した為、書き並べていく。
あまりいないと思うが、今からキングダムハーツをプレイする方へ向けて一応、知らせておこう。
以上、イマイチポイントだ。
まあ何度も繰り返してしまうが22年前のゲームだ。
今更なにを言っているのかと思う読者様が全て正しい。
現状の最新作であるキングダムハーツⅢでは今作の課題点がほとんど解決されているだろう。
今更私がレビューをしたところで感はかなりあるが、予想より遥かに素晴らしい作品だった為、こうして筆を取ってみたのだ。
令和の今こそキングダムハーツ
そもそもキングダムハーツシリーズって一見さんお断り感がけっこうあると思う。
昔から続く名作だからこそシリーズ未経験者は入りにくい。
おまけにキングダムハーツはFFやドラクエと違って作品ごとにストーリーが地続きで密接に繋がっているから、このキングダムハーツ1をプレイしなくてはいけないのだ。
だがキングダムハーツ1が発売されたのは2002年。
今から22年前に発売されたゲームで、ハードは3世代も前のゲーム機だ。
今からシリーズを初めてプレイする方も若干不安を感じてもおかしくはないと思う。
そんな方へこの記事を見ていただき、心構えをしてプレイしてもらい、一緒にキングダムハーツ沼にハマろうというのが筆者の目的だったりもする。
今からプレイするにはPS4やPCでHDリマスターされた初代キングダムハーツが遊べるので、入手は容易だ。
ディズニーというコンテンツは本当に奥が深いし、実に魅力的だ。
おそらく今後もディズニーはエンターテインメント界の頂点に立ち続けるコンテンツだと思う。
ディズニーシーの新エリア開放、オリエンタルランドもコロナ危機を乗り越え利益率はコロナ前に復活する事に成功している。
まだまだ伸びていくディズニーだからこそ、今一度、キングダムハーツ1に立ち返り、素晴らしさを再確認した。
ディズニーが好きでもキングダムハーツは知らないという方も一定数いるのではないだろうか。
そんな方にこそ、ゲームという媒体でゲームならではの要素で、ディズニーらしさを存分に表現された素晴らしいキングダムハーツをオススメする。
クリアしたし少し所感でも書くか〜と思い、筆を走らせたらいつの間にかこんな文字数になっていた。
いやはやディズニーは恐ろしい。
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